桃山の名を冠した野菜たち ①
- 2011/12/17
- 10:24

桃山御陵 /10.07.08 撮影

伏見桃山城 /09.04.06 撮影
京都には、昔から栽培されてきた地方品種が数多くあり、
京野菜としてひとつのブランドとなっています。
京野菜には、鹿ケ谷かぼちゃ、賀茂ナス、聖護院かぶ、
水菜の変種である壬生菜、九条葱など、
それらの栽培地の名を冠したものが数多くありますが、
私の地元でもある京都市伏見区桃山にも、その名を冠した野菜があります。
そのひとつが、ミョウガの新芽を遮光し、
地下水の熱を利用して栽培する桃山みょうがで、京みょうがとも呼ばれます。
桃山には江戸町と呼ばれるところがありますが、
その江戸町は桃山みょうがの発祥の地です。
→京みょうが発祥の地を巡る 11.04.14
そして、もうひとつが桃山大根です。

画像が無いため自作イラストで代用
桃山大根は白首の大根で、
たくあん用のダイコンとしては秀逸なものでした。
肉のしまったコクのある風味は食通にも絶品と称され、
漬物ダイコンの王者とも言われていました。

菜の花と松本酒造の酒蔵 /05.04.22 撮影

陸軍駐屯地跡に残る敷地境界を示す石柱/ 09.05.20 撮影
桃山大根の漬物は、京都の町人たちはもちろんのこと、
伏見の地場産業である日本酒づくりの酒蔵で働く人々や、
かつて、伏見区に点在しあった陸軍駐屯地の兵士たちなど、
多くの人々が口にし、毎日の活力としてきた漬物です。
往年は、生産者自らが消費地へ赴き、漬物の加工を行ったといいます。
文化を支えたのは人であり、人を支えたのは食べ物な訳ですから、
伏見の町を支えてきた大根であると言えます。
■参照した資料
・「歳時記 京の伝統野菜と旬野菜」
髙嶋四郎・編著 トンボ出版
・「京都の伝統野菜」
田中大三・文 宮本進/湯浅哲夫・写真 誠文堂新光社
・「現代にいきづく 京の伝統野菜」
菊池昌治・著 誠文堂新光社
・「京の古道を行く」
増田潔・著 光村推古書院